欠けたぐい呑みを、銀継で直した話 | 2025-12-19更新 | 武蔵野市・三鷹市・杉並区の不動産|ピタットハウス武蔵境店・阿佐ヶ谷店

  • 欠けたぐい呑みを、銀継で直した話2025-12-19

      

    長く使っていたぐい呑みをうっかり欠けさせてしまった。
    縁の一部が、1cm程欠けただけ。
    使えないわけじゃない。
    でも、そのまま使う気にもなれなかった。
    そのまま何年も食器棚に置いていた。

    買い替えれば早い。
    たいして高い物でもない。
    けれど、どこか気に入っていたので「直そう」と思った。

    そこで選んだのが銀継(ぎんつぎ)だった。

    銀継は、いわゆる金継ぎと同じ修復技法だ。
    違いは、仕上げに使うのが金ではなく銀であること。

    今回の工程は、こんな流れだった。

    欠けた部分の清掃と下処理

    割れ口や欠け部分の汚れを丁寧に落とし、漆がしっかり食いつくように整える。

    漆による接着・充填
    生漆を使い、欠けた部分を埋める。
    形を整えながら、乾燥と硬化を待つ。
    この「待つ時間」が、意外と長い。

    研ぎ出し
    固まった漆を少しずつ研いで、器の形に馴染ませていく。
    やりすぎると削りすぎるし、足りないと不格好になる。

    銀粉の蒔き
    最後に、漆の上から銀粉を蒔く。
    乾燥後、余分を落とし、表情を整える。

    銀継前の生漆で欠けた部分を成形した所


    完成した銀継のぐい呑み



    完成したぐい呑みは、欠けていた場所が、銀雅な模様として残った。
    銀継ぎにした理由は、「金継ぎほど主張したくなかった」からだ。
    銀は控えめで、時間とともにくすむ。
    使い続けるうちに、少しずつ表情が変わる。

    欠けたことを誇示するのではなく、
    欠けた時間を引き受ける感じが、銀のほうが合っていた。

    銀継をしていて、改めて思った。
    壊れたものは、元には戻らない。
    どれだけ丁寧に直しても、「欠ける前の状態」にはならない。
    でも、価値がなくなるわけでもない。
    むしろ、その欠け方、その直し方、その後の使われ方によって、以前とは違う価値を持ちはじめる。

    これは器だけの話じゃない。

    不動産も、同じだと思う。
    新築のようにピカピカには戻らない。
    一度入った傷、劣化した設備、時代遅れの間取り。
    それらは「なかったこと」にはできない。

    でも、だからといって価値がゼロになるわけでもない。

    どこを直し、
    どこを残し、
    どこに手を入れないか。

    その選択次第で、
    物件は、新たな価値を持ち始める。
    完璧な物件なんて存在しない。

    銀継したぐい呑みは、新たな表情を見せていて使うたびに楽しませてくれている。
    使っていてくうちに銀の部分は、少しずつ色が変わってきた。
    それを見るたびに思う。
    直したというより、使い続けることを選んだんだなと。


     

    もし、古い物件の扱いに迷っているなら、
    どこを直し、
    どこを残し、
    どう付き合っていくか。

    そんな相談を、一緒に考えてみませんか。

    丹羽


    ページ作成日 2025-12-19

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